短歌



【春】


友逝きてせつなき桜 あと何回春に逢えるか指折りし夜


母逝きてこの世の無常か優しさか 残りし者の背に春が降る


蓮華草 線路の脇で愛想がいい ありがとうね 俺はまだ冬


=入学式=

亡き母と 遠き記憶の桜の門 確かに僕は愛されていた


  出稼ぎの 父に送りし春の写真(え)は つぎはぎだらけの制服を着て


【梅雨】


梅雨の間に すぱげってぃを茹でている 雨と食うのは泣けてくるなあ


【夏】


夏の神 画家の心に舞い降りて 「光を感じろ 描くまで返さん!」


夏草の 光の沼に筆走る 勝手に動く・・俺の手じゃない


雨あがり スカート揺らして夏が行く 胸ときめきし逆光の恋


満天の星降る空を手で掴む 自閉の娘に声掛けられぬ


母が逝き 恋する父は泣きながら 棺に謝る夏空の下


母の式 ふらり涙で来た父の 棺にすがった 放浪の果て


 悲しきは 愛した女が旅に出る棺に最後の釘を打つ父


【線香花火】


幼き子 母屋の灯り背に受けて 最後の線香花火に泣いた


懐に 月が来ぬよう影つくり 線香花火を愛でる女性(ひと)


父親は 線香花火に考える 我が来た道 そして行く道


老いた人 線香花火に黙っては 行く道重ねて深呼吸する


母親が 線香花火に誓う事 「綺麗に生きよう 最後の日まで」


嫁ぐ人 線香花火が落ちるまで 手にしたスイカを齧らなかった


「あと1本・・・」 無口になった子供らは 線香花火で 逝く夏を知る


【秋】


諍いが絶えぬ家より一人寝の 灯りを消し見る満月が良い



【冬】


すやすやと 炬燵の寝息 枝の音 風よ吹きやめ 起きてしまうぞ


助手席の 君の寝言に曇る窓 静かだね静かだよ 外はまだ雪


雪を積み 思い出積んでしずしずと 青い車は北国を出る


冬の夜 膝を抱えて壁で泣く 君を癒すは君の恋のみ


陽がさんさん 歩みを止めて君想う 訃報の朝は小春日和



【季節無し】


悩む人 梯子をかけろ ここに来て 箱庭を知れ 我は空なり


嘘をつけ!君の悩みは屋根より低い 全部見てるぞ 我は空なり


肌をさす痛みに耐えて生き抜かん 我は「電気の海」ゆく魚 


黙々と愚痴を慎め 岸遥か・・・ 我は「電気の海」ゆく魚


労働の日々に迷えば岸遥か・・・ 我は「電気の海」ゆく魚


見えぬ岸信じるしかない人生だ 我は「電気の海」ゆく魚


空は母 流れる雲は浪漫の夢追う父だ 後の祭り


志 壊れて廃墟のビルに立つ 我が同胞(はらから)よ靴を買え!

友よ、せめて新しい靴を履いて街に出ないか。
まだ歩けるだろう?まだ深呼吸ぐらいできるだろう?
幻想の廃墟を降りて来い。一緒に歩こう。
曇り空はもういい、地面を見ろ。
俺が親友だった事ぐらい覚えてるだろう。


訪ね来た父の敬語に息つまる 「一緒に住んで・・・くれませんか」


別れの日 薬箱を整理して 「あなたの分よ 元気でね」


離婚した薬箱に捨てきれぬ ちっちゃなピカチュウの絆創膏


夢破れ 友の背中で泣いた夜 断じて我は恥じる事無し


浮遊して不確実なる我が恋に 影を縫いつけ地面に戻せ


今一度生まれてくるなら 音楽を お金に換えぬ理想の国


「疲れたわ・・魚になる」と消えた君・・・・なんだ風呂屋か!びっくりさせるな


「疲れたわ・・魚になる」と消えた君 笑いこらえて風呂屋へ追跡


待つ人がいる幸せは密やかに 多くを望まぬ心を育てる



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